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第2弾 症例:前十字靭帯断裂アスリートにみられた痛みの“領域”の変化

膝の痛みが長く続くとき、
私たちはつい「膝の中が悪い」と思いがちです。

ところが、実際に身体を観察していくと
痛みは関節の中ではなく、皮膚上に“領域として”存在することがわかります。

背景

あるアスリートは、サッカーの試合中に転倒し、
膝前十字靭帯断裂の診断を受けました。

膝に力が入らない

歩くと膝が前に“スライド”する感覚

片足立ちが不安定

常に膝まわりに痛みと防御反応がある

一般的には手術や長期リハビリが必要とされるケースです。

しかし、ここで注目すべきは

「痛みの場所はどこか?」

という点でした。

観察:痛みは“点”ではなく“領域”だった

膝周囲を丁寧に触れていくと、
強く響く中心点があり、
そのまわりに鈍い痛みが広がる帯状の領域が存在していました。

つまり、

(最も痛い中心点)

(その周囲に広がる違和感の層)

(さらに外側の硬さの層)

この全体が ペインポケット(痛みの領域) でした。

アプローチ:領域全体に対する刺激

従来の“ツボ押し”や“一点刺激”ではなく、

中心から外側へ向かって
“面として広がる領域全体”へアプローチしました。

すると、

過敏化した中心点が徐々に落ち着き

防御収縮していた筋が緩み

荷重時の痛みが段階的に減少

という変化が観察されました。

セッションごとの変化

回数 歩行時の痛み 膝の安定感 身体の反応

初回 強い痛みあり スライド感強い 片脚荷重が不安定
2回目 痛みが軽減 スライド感が減少 歩幅が自然に戻る
3回目 可動域が広がる 安定感が増す 片脚立位が可能に
4回目 歩行時痛ほぼ消失 スライド感消失 通常歩行が可能に

変化は 一気にではなく、段階的に積み上がったものです。

この症例が示すこと

痛みは曖昧ではない

身体の表面に“場所”として存在する

その場所は、触れれば誰でも確認できる

見えれば、対処できる

つまり、

> 痛みは「謎」ではなく「観察できる現象」だった。

ということです。

まとめ

前十字靭帯断裂という重大な損傷であっても

痛みは構造そのものではなく、周囲に形成された“領域”で感じられていた

その領域を 見つけて・整える ことで

身体は本来の動きを取り戻していく

痛みは“見える”ようになったときから変わり始める。

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