心臓に関する不調は、
多くの場合「内側(臓器)」の問題として理解されます。
しかし、実際の臨床では
“内側の不調は、身体の表面に反映される”
という現象が繰り返し確認されます。
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背景
ある患者は、心房細動 と診断され、
動悸・息苦しさ・疲労感が続いていました。
日常生活の中で、
階段で息が切れる
少し動くと脈が乱れる感じがある
胸の「奥」が握られるような感覚がある
という訴えがありました。
このとき重要なのは、
「身体は何を示しているか?」
という視点です。
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観察:胸部に“圧痛の帯”があった
胸骨周囲を丁寧に触れていくと、
軽く触れただけで「うっ」と反応が出る点
その点を中心に広がる 硬さと鈍い痛覚の層
が確認されました。
つまり、
心臓(内側)で起きている変化が
↓
皮膚の表面(外側)に“痛みの領域”として表れていた
ということです。
これが、
循環器系に関連するペインポケット の典型例です。
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アプローチ:強い点ではなく、周囲の“帯”から整える
過敏な中心点へ直接刺激を入れるのではなく、
周囲に広がる帯状の領域から緩めるアプローチを行いました。
その結果、
胸周囲の防御収縮がゆるむ
呼吸が深くなる
動悸の出かたが落ち着く
という変化が段階的に見られました。
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観察された変化(数回の経過)
回数 胸部の感覚 呼吸 身体全体の印象
初回 触れると強い反応 浅い呼吸 常に緊張感
2回目 圧痛が明確に減少 呼吸が深くなる 表情がゆるむ
3回目 体幹の硬さが減少 息苦しさが少なくなる 動きが滑らかに
4回目 圧痛領域がほとんど消失 呼吸が自然になる 全身の余裕が戻る
※心電図変化・心拍調整は医師によるモニタリング対象であり、
ここでは 体性感覚として観察された変化 を記載しています。
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この症例が示すこと
内臓の不調も、身体表面へ“形”として現れる
痛みと緊張は「理由がなく起きる」のではない
圧痛領域は、身体が発する“見えるサイン”である
表層の変化は、深部の回復と連動することがある
つまり、
> 身体は、いつも「どこに触れればいいか」を教えている。
ということです。
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まとめ
心房細動においても、胸部に 圧痛の領域(ペインポケット) が現れる場合がある
それは「感覚」ではなく 触れれば誰でも確認できる現象
領域として整えることで、
呼吸・緊張・動きの質に変化が現れる
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見えない痛みを、見える希望へ。


